【ご案内】 本連載は、一個人の体験に基づく参考情報です。私は医療の専門家ではありません。症状には個人差がありますので、違和感がある場合は自己判断せず、速やかに専門医(肛門科)の門を叩くことを強く推奨いたします。
真夜中の「!!!」
それは、静寂に包まれた真夜中のことでした。 「!!!」 言葉にならない衝撃と共に、私は暗闇の中で跳ね起きました。脳を突き抜けるような鮮烈な痛み。寝ぼけた頭では最初、何が起こったのか理解できず、ただ闇の中で震えるしかありませんでした。
痛みの原因を探ると、答えはやはり「お尻」にありました。 どうやら私は、熟睡中に「寝返り」を打ったようなのです。それも、上半身は天井を向いたまま、下半身だけを大胆に横へ捻るという、高度なツイストを無意識にキメてしまった模様。
この捻転動作により、癒えかけていたお尻の皮膚が無慈悲に引っ張られ、せっかく塞がっていた傷口が「パッカーン」と開いてしまったのです。まさに、ツイストした瞬間にシャウト(絶叫)で目が覚めるという、地獄のオンステージでした。
制御不能な「野生の自分」
日中の私は「スローモーション戦略」を駆使し、全動作をミリ単位で制御しながら慎重に生きています。しかし、ひとたび深い眠りに落ちれば、そこは理性の届かない野生の世界。
「寝返りは、癒えかけたお尻の傷口を軽々と引き裂く」
この残酷な事実に、私は愕然としました。傷を癒すためには睡眠が必要なのに、眠れば眠るほどお尻が破壊されるという矛盾。寝不足で心は削られますが、かといって寝ないわけにはいきません。せめて傷がある程度回復するまでは、激しい寝返りは控えたいところです。
まず試したのは、体の横に大きなクッションを置き、寝返りを物理的に阻止する「防波堤作戦」でした。しかし翌朝、目を覚ますとクッションは寝床の遥か彼方、部屋の隅へと蹴り飛ばされていました。睡眠中の私は、想像以上にアグレッシブな動きをしていたようです。
ミイラ、爆誕。
「クッションがダメなら、自分自身を拘束するしかない」
数夜にわたる激痛と寝不足の果てに、私は一つの究極的なスタイルに辿り着きました。 就寝直前、いつものようにブランケットを体にかける際、私はある儀式を執り行います。
- まず、両手をお腹の上に厳かに置く。
- 体を捻らず、丸太のように真横にコロンと転がる。
- 浮いた方の背中に、ブランケットの端をぐいっと巻き込む。
- 反対側にも同様に転がり、もう片方の端も背中に封印する。
この動作を数回繰り返すと、全身がブランケットに隙間なく包み込まれ、腕一本動かせない状態になります。
その姿は、かつてテレビで見た、布を幾重にも巻かれ、直立不動のまま永遠の眠りにつく「ミイラパッケージ」そのものでした。
ここで言う「ミイラパッケージ」とは、古代エジプトのミイラのように、何層もの包帯で全身を隙間なく、かつガチガチに固められた状態を指します。関節の遊びが一切なく、まるで一本の棒になったかのようなあの独特の姿です。私の場合はブランケットを包帯代わりにして、自分の自重でその端を背中の下に敷き込むことで、物理的に「脱出不可能」な拘束状態を作り上げたのです。
正直に言いましょう。この姿は、あまりにも情けなくて人に見せられるものではありません。大の大人がブランケットにぐるぐる巻きにされ、芋虫のように身動き一つ取れずに寝床に転がっているのです。もし深夜に泥棒が入ってこの光景を目にしたら、あまりの異様さに盗みを諦めて立ち去るのではないか。そんなレベルの恥ずかしさを伴うスタイルです。
しかし、恥を捨ててでも守らなければならない「お尻」が私にはありました。試行錯誤の末に編み出したこのスタイルは、私の身体的自由を奪う代わりに、あの呪わしい「無意識のツイスト」を物理的に封じ込めることに成功したのです。

拘束の果てに掴んだ平穏
たまに無意識の力が勝り、夜中にパッケージを自力で解いてしまうこともありましたが、お尻への負荷は確実に減りました。
両腕を封じられ、ミノムシのような姿で朝を迎える状況は、客観的に見れば奇妙なものです。恥ずかしくて人に見せられるものではないでしょう。しかし、あの「真夜中の衝撃」に怯えることなく眠りにつける安心感には代えられませんでした。
無意識下の行動は人それぞれ。この「ミイラパッケージ寝」が万人に通用するとは思いませんが、もし今、夜な夜な自分の寝返りに裏切られている同胞がいたら、一つのヒントになれば幸いです。
【本日の教訓】
- 夜の無防備な一捻りがすべてを無に帰します。静かなる眠りを守るためには、古代王のごとく自らを封印し、動きを断つ他ありません。ミイラパッケージ寝は復活の儀式です。 恥を捨ててミイラになれる者だけが、真の「健やかな目覚め」を許されるのです。


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