冬の初めに役所の窓口で申し込んでいた家系図用の戸籍資料が、ようやく手元に届きました。処理に3か月かかると言われていた通り、ちょうど春の訪れとともに役所から連絡があり、ずっしりと重みのある書類の束を受け取ってきました。
今回の調査で手に入れた戸籍資料は、全部で28通。費用は合計で20,000円ほどでした。内訳を見てみると、父方が11通で母方が17通。この通数の差だけでも、それぞれの家系が歩んできた移転の歴史や家族構成の違いが透けて見えるようで、パラパラと眺めているだけで時間が過ぎてしまいます。
何より驚いたのは、遡ることができた年代です。今回の調査で判明した最も古いご先祖様は、なんと天保生まれでした。天保といえば1830年代から40年代、幕末の足音が聞こえてくるような江戸時代末期です。教科書の中でしか知らなかった時代の年号が、自分の直系のご先祖様の生年月日として記載されているのを見たときは、言葉にできない不思議な感覚に包まれました。
ちなみに、一緒に申し込んだ知人の分はさらにボリュームが凄まじく、全部で53通、費用も40,000円ほどかかったそうです。その方の家系では文政生まれのご先祖様まで判明したとのこと。1800年代前半から現代の私たちまで、途切れることなく命のバトンが繋がってきた事実に、ただただ圧倒されるばかりです。
役所の手厚いサポートに感謝
今回、戸籍謄本の束を受け取る際に嬉しかったのが、役所の職員さんがサービスで直系の家系図を作成してくれていたことです。28通もの膨大な資料から、自分を中心に父方・母方の直系ルートを抜き出し、手書きで一枚の図にまとめてくれていました。
この図は非常にすっきりしていて、自分が誰から受け継がれた存在なのかが一目で分かります。とりあえずの全体像を把握するにはこれ以上ない資料です。しかし、手元にある28通のコピーを一枚ずつめくってみると、そこには直系以外の人たちの記録もびっしりと書き込まれていました。
直系の家系図からは省かれている兄弟姉妹、若くして亡くなった子供たち、分家して別の土地へ移っていった親戚。市役所の図には載っていない彼らの名前を見ていると、当初の「直系だけわかればいい」という気持ちが少しずつ変わってきました。この28通に刻まれた全員の情報を、しっかりとした形として残したい、という欲が出てきたのです。
手書き文字という難敵に挑む
やる気満々で資料を読み解き始めたのですが、ここで大きな壁にぶつかりました。古い時代の戸籍は当然ながら全て手書きで、しかも現代の私たちが日常で使う文字とはかなり異なる、独特の癖がある達筆な文字で書かれています。
中には判読が非常に難しい箇所もあり、一文字読むのにも一苦労です。名前なのか、地名なのか、あるいは続柄なのか。当時の役人が筆を走らせている姿を想像しながら、目を皿のようにして文字を追いかけています。
そこで、まずは最新の技術と伝統的な道具を組み合わせて、自分なりの解読チームを作ることにしました。スマートフォンのGoogleレンズで文字をスキャンしつつ、手元にはくずし字や変体仮名の辞典を用意して、一文字ずつ正解を探っていく作業です。
この「解読」の作業が、予想以上に楽しいのです。パズルのピースを一つずつ埋めていくような感覚で、読めなかった名前がふと判明した瞬間には、そのご先祖様と初めて挨拶ができたような、妙な達成感があります。
家族への贈り物としてテキストデータ化
現在は、読み解いた情報を全てパソコンでテキストデータ化しています。ただ図を書くだけでなく、生年月日、死亡年月日、本籍地の移動、家族構成などをデータベースのようにきれいに整理してまとめ直すつもりです。
なぜそこまでやるのかというと、この情報を整理して家族に見せてあげたいからです。28通の、時にかすれて読みにくいコピーのままだと、家族もなかなか中身まで目を通すのは大変でしょう。でも、きれいに整頓されたデータと、そこから広がる詳細な家系図があれば、きっとみんなで自分たちのルーツを共有できるはずです。
天保の時代に生まれ、激動の幕末や明治、大正、昭和を生き抜いてきた人々。彼らがどのような家族に囲まれ、どのような一生を送ったのか。そんな物語を感じ取れるような資料に仕上げるのが今の目標です。
28通分の入力作業はまだまだ時間がかかりそうですが、焦らずゆっくりと進めていこうと思います。150年前の記録を現代のテキストデータとして蘇らせる作業は、今の私にしかできない大切な役割のような気がしています。
次は、兄弟たちの情報を追加して、もっと賑やかになった家系図の様子を報告できればと思います。完成した資料を家族に披露する日が、今から楽しみで仕方がありません。












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