『痔主襲名。』 第10回:そこに筋肉はあるんか? 

『痔主襲名。』 第10回:そこに筋肉はあるんか?

【ご案内】 本連載は、一個人の体験に基づく参考情報です。私は医療の専門家ではありません。症状には個人差がありますので、違和感がある場合は自己判断せず、速やかに専門医(肛門科)の門を叩くことを強く推奨いたします。

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目次

すべては、ネットの評判から始まった

ことの始まりは、「効率的に痩せたい、健康的な体を手に入れたい」という純粋な向上心でした。

せっかく取り組むなら、最も効果の出る正しいスクワットのやり方を知りたい。そう思ってネットで熱心に調べていたとき、ある有益なコメントが目に飛び込んできました。 「マヂカルラブリーの野田さんの動画が良い」

マヂカルトレーニングのプロとしても名高い、あの野田クリスタルさんです。「そうか、そうか、それでは見てみよう」と、私はさっそく動画を再生しました。

動画の中で紹介されていたのは、特別な道具もいらず、自宅の省スペースで今すぐ真似できる画期的な方法でした。椅子に座るか座らないかという絶妙なラインまでお尻を落とし、少し浮かせた状態で姿勢をキープする。日常の動作に例えて説明されていて、とにかく分かりやすいのです。

「きたきたー。これは効いている気がするぞ~」

さっそく実践してみると、太ももとお尻に強烈な刺激が走ります。「お尻に力が入って、しっかり筋肉を使っているぞ!」という確かな実感が、私のモチベーションをさらに高めてくれました。

忍び寄る「筋肉疲労」の正体

自分でも簡単にできて、しかも効果的。すっかりこのトレーニングが気に入った私は、それから1週間ほど、毎日真面目にスクワットを続けました。

運動している最中は、お尻の違和感にはまったく気が付きませんでした。 「ふぅ、今日もいい汗をかいた。やっぱりお尻のあたりがズシッと重いな。下半身の筋肉を使って疲労している証拠だ。野田先生、ありがとう」

心地よい疲労感を覚えながら、私は自分の健康意識の高さに酔いしれていました。まさか、その「疲労感」の裏で、デリケートなお尻の皮膚が悲鳴を上げていたとも知らずに。

惨劇の舞台は、やはりあの場所でした。

ある朝、いつものようにトイレで排便をしようとしたその瞬間、お尻の奥から明確な違和感が突き上がってきたのです。

「……待って。これは筋肉疲労ではないのでは? お尻が、傷ついている!?」

【今回の浅はかポイント】それは筋トレか、いきみか

後から調べて知ったのですが、お尻に持続的な力を入れ続ける行為は、痔を患っている人間からすると非常に危険なことらしいのです。

よく考えてみてください。「椅子に座るか座らないかの姿勢で、お尻にギューッと力を入れ続ける」というあの状態。 これ、トイレでなかなか出ないブツを押し出そうと、全力でいきみ続けているのと構造が全く一緒ではないでしょうか。

スクワット運動とは、見方を変えれば「疑似うんこいきみ運動」と言っても過言ではないのかもしれません。いや、さすがに過言ですね。野田さんに怒られます。

きっと、私のスクワットのやり方が良くなかったのでしょう。本来なら太ももの大きな筋肉でしっかりと体重を支えるべきところを、筋力が足りないせいで、お尻に変な力を集中させてしまっていたのだと思います。知らんけど。

健康のために始めたはずの意識高いスクワットが、まさか自ら進んでお尻を痛めつける拷問になっていたとは。良かれと思った習慣に潜む罠を、身をもって知った初夏の出来事でした。

【本日の教訓】

  • 評判の良い動画でも、お尻のコンディションは考慮してくれない。 どれほど効率的な筋トレであっても、現在の自分の耐荷重(お尻の強度)と相談する必要があります。
  • お尻のキープは、いきみのキープ。 太ももで支えきれない負荷は、デリケートな部分へ。「効いている」と感じたその刺激、本当に筋肉の疲労ですか?

エッセイ連載:『痔主襲名。』リンク集

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