『痔主襲名。』 第2回:「なんじゃこりゃー!」は、突然に。

『痔主襲名。』 第2回:「なんじゃこりゃー!」は、突然に。

【ご案内】 本連載は、一個人の体験に基づく参考情報です。私は医療の専門家ではありません。症状には個人差がありますので、違和感がある場合は自己判断せず、速やかに専門医(肛門科)の門を叩くことを強く推奨いたします。

目次

日常の裏側に潜むヒリヒリ

人生の転換点というものは、ドラマチックなBGMと共に訪れるわけではありません。

一晩ぐっすりと眠ったことで、前日に感じていたお尻の痛みは驚くほど引いていました。喉元過ぎれば熱さを忘れるとはよく言ったもので、私は自分が「お尻を負傷している身」であることを、この時すっかり失念していたのです。

しかし、現実は非情でした。いつもの時間にお通じを済ませた直後、平穏はあっけなく崩れ去ります。

「……あ、痛い」

せっかく引いていた痛みが、ごく静かな「ヒリヒリ」という感覚と共にぶり返してきました。例えるなら、冬の乾燥で指先が少し荒れた時のような、あるいは紙の端で薄く切ってしまった時のような、微かな、しかし確かな刺激。

「……気のせいだろう。昨日あんなに痛かったのが引いたんだから、これもすぐ収まるはずだ」

私はそう自分に言い聞かせ、無理やり思考の隅へと追いやってしまいました。時計を見れば、無情にも出勤時間は刻一刻と迫っています。この程度の微々たる違和感のために、朝の貴重な時間を割いて確認作業に入るなどという選択肢は、効率を重んじる私には存在しませんでした。しかし、この時の安易な「リセット期待」が、後に大きな絶望へと繋がることになります。

運転席では片尻浮かす

私は気にすることをやめ、車の鍵を手に取りました。自宅から勤務先までの運転は、私の毎朝のルーティンです。しかし、シートに深く腰を下ろした瞬間、私はある「物理的な事実」に直面することになります。お尻をスライドさせた際に皮膚が引っ張られ、傷を悪化させたようです。一瞬「ズキッ」と鋭い痛みを感じました。

「座る」という行為が、これほどまでにお尻に対してダイレクトに重力をかけるものだとは、それまでの人生で意識したこともありませんでした。

アクセルを踏むたびに、あるいは路面のわずかな段差を越えるたびに、先ほどのヒリヒリ感がじわじわと確信に近い「存在感」へと変わっていきます。信号待ちのたびに、シートの上でお尻のポジションを微妙にずらしてみるものの、一度灯ってしまった違和感の火は、そう簡単には消えてくれません。それでも私は、「今日は少し肌が敏感なだけだ」と、ハンドルを握りながら自分を騙し続けていました。

デスクワークと、逃げ場のない会議

職場に到着した私を待っていたのは、無慈悲なまでの「デスクワーク」の山でした。そして追い打ちをかけるように、午前中から長時間にわたる会議の予定がびっしりと詰まっていたのです。

朝から晩まで、ほぼ座りっぱなし。 これは、お尻にとってのフルマラソンに等しい過酷な試練です。

会議室の硬い椅子に深く腰を下ろし、資料に目を落としながらも、私の意識の半分は完全にお尻へと集中していました。時間が経過するごとに、朝のヒリヒリ感は、熱を帯びた鈍痛へと成長していきます。

「これだけ長時間座っていれば、どんなに万全な状態のお尻だって痛くなるのが当たり前。今日は座り過ぎでお尻が痛いなぁ。」

私は必死に、自分自身を納得させるための論理を組み立てていました。もしこれが「普通のこと」であれば、明日には治っているはず。そう自分に言い聞かせ、会議のメモを取るふりをしながら、心の中で必死に現状を肯定し続けました。

衝撃の「なんじゃこりゃー!」

一日の業務を終え、逃げ場のない鈍痛を抱えて帰宅した私は、すぐさま浴室へと向かいました。服を脱ぎ捨て、おそるおそる、その「現場」へと指先を伸ばしました。

指先に伝わってきた感触に、私は文字通り凍りつきました。

「……なんじゃこりゃー!」

そこには、本来あるはずのない異物が鎮座していました。大きさにして、ちょうど「小粒納豆」くらいの膨らみ。単なる出来物という言葉で片付けるには、あまりに立派すぎる出っ張りがそこに存在していたのです。

そこではっきりと自覚しました。お尻に傷がつき、そこが化膿して腫れ上がっているのだと。後に調べたところによれば、どうやら「内痔核」が炎症を起こしてしまった状態のようでした。

当時の私は、まだどこまでも楽観的でした。「シャワーできれいに洗って、一晩ぐっすり寝れば、人間の自然治癒力がなんとかしてくれるだろう。明日にはこの納豆も消えているはずだ」と。

しかし、その時の私に教えてやりたい。これから半年以上、お前はこの「小粒納豆」と格闘し続けることになるのだぞ、と。あの日、あまりに無知で楽観的だった自分を、今の私は心から叱り飛ばしたい気分です。

【本日の教訓】 

・日常の違和感を『気のせい』で片付けるのは、お尻に対する不誠実な対応である。

・負傷時のお尻スライドは極めて危険な行為である。

・長時間デスクワークは地獄の入り口と心得よ。

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