家の固定電話が鳴ると、少しだけ身構える癖がついています。今の時代、友人や知人との連絡はスマートフォンで事足りますし、家にかかってくるのは自治体の連絡か、あるいは何らかの勧誘であることが多いからです。
先日も、作業の合間に電話が鳴りました。受話器を取ると、元気な声の主が「不用品の買い取りで、今ちょうど近くを回っているところなんです」と言います。この「近くを回っている」というフレーズ、よく聞く営業トークではありますが、改めて考えると不思議なものです。
相手はこちらの正確な住所を知っているわけではありません。電話番号の市外局番や市内局番から、大まかなエリアを絞って片っ端からかけているのでしょう。それなのに、あたかも「今、あなたの家の角を曲がったあたりにいます」という雰囲気で話しかけてくる。この距離感の詰め方は、ある種の技術なのかもしれません。
予想外の結末
電話の相手は「どんなものでも買い取ります」と強調していました。古着でも、壊れた道具でも、捨てようと思っているものがあれば何でも、という勢いです。そこで私は、クローゼットの中でずっと気になっていたもののことを思い出しました。
以前購入したものの、サイズが微妙に合わなくなってしまったユニクロの服です。状態は悪くないのですが、自分が着るには窮屈で、かといって捨てるには忍びない。そんな一着が数枚ありました。
「サイズが合わなくなったユニクロの服でも買い取ってくれますか」
そう質問した瞬間、受話器の向こうから聞こえていた活気が消えました。そして、次の瞬間にツーツーという切断音が響きました。
最初は、何か失礼なことを言ってしまったのか、あるいは電波の調子でも悪かったのかと考えました。しかし、よくよく調べてみると、これが巷で言われる「押し買い」の業者の反応としては極めて標準的であることを知りました。
買い取り業者の本音
彼らの本当の狙いは、ユニクロの服のような大量生産された安価な衣類ではありません。それらはあくまで家の中に入るための口実であり、本当の目的は家の中に眠っている貴金属や宝石、ブランド時計といった資産価値の高いものです。
「ユニクロの服」という具体的な、そして再販価値があまり高くないアイテムの名前を出したことで、相手は「この家に行っても利益が出るものは出てこない」と瞬時に判断したようです。彼らにとって、利益の見込めない電話を続けるのは時間の無駄なのでしょう。
結果として、面倒な勧誘を断る手間も省け、向こうから身を引いてくれるという、非常に効率的で安全な撃退法になりました。もし「何でもいいですよ」という言葉を鵜呑みにして家に入れていたら、玄関先で「他に何かありませんか」と粘られていたかもしれません。
循環させるという選択
この出来事をきっかけに、サイズが合わない服の処分について真剣に考えました。不用品買い取り業者に安値で引き取ってもらうよりも、もっと納得のいく形があるはずです。
そこで行き着いたのが、ユニクロが実施している「RE.UNIQLO」という取り組みです。店舗に設置されている回収ボックスに、自社製品の不要になった服を入れるだけで、必要としている場所へ届けられたり、新しい資源として再利用されたりするらしいです。
自分の持っている服がどこかで誰かの役に立つかもしれないと思えば、捨ててしまうよりずっといいと思えます。
整理整頓と心の安定
今回の電話騒動は、結果として部屋の整理整頓を加速させる良いきっかけになりました。クローゼットに眠っていた「いつか着るかもしれないけれど、今は着られない服」をまとめて持ち出す準備を整えただけで、視界が少し開けたような気がします。
家の固定電話にかかってくる得体の知れない提案に惑わされず、自分なりに納得できる処分の方法を見つけられたのは収穫でした。
もし同じような電話がかかってきたら、次もまた「ユニクロの服しかありません」と答えることにします。そうすれば、相手はまたすぐに電話を切ってくれるでしょう。
無駄なものを溜め込まず、適切な場所へ循環させていくこと。今回の電話は、そんな当たり前の、けれど忘れがちな生活の基本を思い出させてくれました。不用品を処分してスッキリした部屋で過ごす時間は、何物にも代えがたい快適さがあります。













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