忘年会の幹事を任される。それは、平穏な日常に突如として放り込まれるプロジェクトマネジメントの試練のようなものです。参加者のスケジュール調整、店選び、予算の計算。やるべきことは山積みですが、一番の難所はなんといっても「場所の確保」ではないでしょうか。
12月の忘年会シーズンは、まさに椅子取りゲームです。私も以前、会社の忘年会幹事を引き受けた際、その厳しさを身をもって知ることになりました。1ヶ月も前から準備を始め、何軒も電話をかけ続けて、4軒目でようやく予約にこぎつけた店。その時の安堵感といったらありませんでした。しかし、そこには思いもよらない落とし穴が待っていたのです。
1週間前に突きつけられた「予約キャンセル」の事実
事態が動いたのは、開催の1週間前でした。最終的な参加人数を確定させるため、確認の電話を入れた時のことです。
「あ、〇〇(会社名)の予約の件ですが……」 「……はい、そちらのご予約は既にキャンセルを承っておりますが」
受話器の向こうから聞こえてきたのは、耳を疑うような言葉でした。頭の中が真っ白になるとは、まさにこのことです。1ヶ月も前に必死で押さえた予約が、自分の知らないところで消滅している。12月のこの時期に、今から大人数の代わりの店を見つけるのは物理的に不可能です。冷や汗が止まらず、血の気が引いていくのが分かりました。
なぜ、こんなことが起きたのか。原因は非常にシンプルで、かつ盲点でした。
その日、その店には偶然にも「同じ会社名」で別のグループが予約を入れていたのです。そして、その別グループがキャンセルを申し出た際、店側が混同して私の予約まで一緒に消してしまった。これが事の真相でした。
絶望の淵で見つけた「改装中店舗」という奇跡
普通なら、ここで「申し訳ありませんが、満席でお席は用意できません」と断られて終わる話です。しかし、そこからが驚きの展開でした。
お店側も自分たちのミスを重く受け止めてくれたようで、必死に対応策を考えてくれました。そして提案されたのが「現在、改装休業中の別店舗を臨時で開放する」という案だったのです。
お店のスタッフが本店舗から改装中の店舗まで料理を運び、即席の宴会場を作ってくれるという、異例中の異例の対応。当日、実際に会場へ行ってみると、そこは本来なら誰もいないはずの貸切空間でした。
他のお客さんに気兼ねすることなく、自分たちだけのプライベートな空間で過ごす忘年会。参加者からは「今年の会場は広々としていてリラックスできる」「どうやってこんな場所を見つけたんだ」と、予想外の大好評を得ることができました。
必死にリカバリーに走った結果、終わってみれば「幹事、やりきった」という、これまでにない達成感を味わうことができたのです。
痛恨のミスから得た「予約名」の教訓
この一件から得た教訓は、非常にシンプルですが強力です。
「予約名は他と絶対に被らない名前にすること」
会社の宴会だからといって、安易に会社名だけで予約するのは危険です。特にオフィス街や宴会が重なるシーズンは、似たような名前のグループが同じ店に集まる可能性が格段に高まります。
これから春に向けて、送別会や歓迎会のシーズンがやってきます。私と同じような悲劇(あるいは奇跡的なリカバリー)を繰り返さないために、以下のポイントを意識してみてください。
- 会社名だけでなく、幹事個人の名前を必ず添える。
- もし可能なら、部署名やプロジェクト名など、より具体的な名称を伝える。
- ネット予約の備考欄には「〇〇という担当者の予約である」と念押しで記載しておく。
店側も人間ですから、忙しい時期にはどうしても取り違えが起こります。そのリスクを最小限にするのは、他でもない幹事の「名前の付け方」ひとつなのです。
最後に:確認の電話があなたを救う
今回の件で、もうひとつ重要だと感じたのは「1週間前に確認の連絡を入れたこと」です。もし私がこの時電話をしていなければ、当日、会社のみんなを引き連れて店の前で立ち往生することになっていたでしょう。
1週間前というタイミングは、万が一の事態が発覚しても、お店側がなんとか対策を練るための「猶予」になります。
幹事の仕事は、当日の盛り上げ以上に、こうした地味な確認作業の積み重ねで成り立っています。これから幹事を務める皆さんも、予約名の工夫と事前の確認を徹底して、ぜひ最高の宴会を作り上げてください。


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