先日、実家への帰省を果たしました。自然豊かな場所でのんびり過ごす数日間は、まさに心身のリフレッシュ期間。しかし、この帰省は、私自身の「安全」に対する意識を根底から覆す、ある驚きの経験をもたらしてくれました。
バスを降りて、実家まで数十分の道のりを歩きました。馴染みの風景、清々しい空気。この時、私の頭にあったのは「車の飛び出しに注意しよう」という、ごく一般的な交通安全への意識だけでした。まさか、その視線の先で、私が警戒すべき対象が、鉄の塊ではなく、毛むくじゃらの野生動物になろうとは、夢にも思っていませんでした。
一服の安堵を打ち破った、衝撃の回覧板
家に着き、ほっと一息ついた時、玄関先に回覧板が回ってきました。久しぶりに触れる地域のコミュニティの温かさに、どこか懐かしさを覚えたのも束の間、その内容に目が釘付けになりました。
回覧板に記されていたのは、「連日くま出没。目撃情報多数」という、にわかには信じがたい警告でした。
最初は「山に近い地域だから、たまにあるのかな」と軽く考えていましたが、念のため行政のクマ目撃情報サイトを確認して、事態の深刻さを知りました。そこには、私が数十分前に歩いたばかりのバス停周辺で、つい数日前にクマが目撃されたという情報が掲載されていたのです。しかも、そのクマは、住宅街の大通り沿いのレストランの残飯をあさっていたとのこと。
私が通過した時、もしあの角からクマが出てきていたら。道の端を歩いていた私が、もしクマと鉢合わせしていたら。その瞬間、背筋が凍るような思いに囚われました。交通安全の意識は万全でも、「クマとの遭遇」という予期せぬリスクを全く想定せずに歩いていた自分に、深い反省を覚えました。
今や「熊出没注意！」は全国的で身近な出来事なのだと認識を改めました。
「想定外」を「想定内」に変える意識改革
この出来事は、私にとって大きな意識の転換点となりました。私たちはこれまで、「日本は治安が良い国だ」という言葉に安堵し、安全は保証されているものだという前提で生活してきました。もちろん、諸外国と比較して犯罪率は低いかもしれませんが、近年増加する凶悪事件のリスクや、今回のような野生動物の出没リスクは、確実に私たちの生活圏に迫っています。
「想定外だった」では、自分の命は守れません。大切なのは、起こりうる危険を予測し、対処する心の準備をして行動することです。これを「リスクアセスメント」という堅苦しい言葉で片付けず、自分の身を守るための「サバイバル意識」として日常に取り入れるべきだと痛感しました。
備えあれば憂いなし！クマ遭遇時のシミュレーション
例えば、今回のクマの件。もし遭遇してしまったら、どう対処すべきか。知っているか知らないかで、生存の可能性は大きく変わります。
もしクマと出くわしても、絶対に大声を出したり、走って逃げたりしてはいけないということを、改めて頭に叩き込みました。クマは走って逃げるものを本能的に追いかける習性があり、また、刺激すると攻撃的になるからです。
正しい行動は、落ち着いて、ゆっくりと後ずさりしながら距離を取ること。そして、もし子グマを見つけたら、その近くには必ず母グマがいると想定し、静かにその場を離れることです。このような具体的な対処法を知っているかどうかで、パニックに陥るか冷静に行動できるかが分かれます。
安全神話からの決別と新しい一歩
今回の帰省は、単なる休息の機会ではなく、私自身の「安全」に対する無防備さを露呈し、それを改めるきっかけを与えてくれました。
「まさか自分の身に起きるはずがない」という安全意識から卒業し、交通の安全はもちろんのこと、犯罪のリスク、そして今回のような自然のリスクも含め、常に多角的に危険を想定して行動する意識を持つこと。これは、平和な日常を守り続けるための、最も重要で、最も基本的なことなのかもしれません。
私たちは、この経験から学び、意識を高めることで、より安全で豊かな生活を自らの手で築いていくことができます。この帰省での「恐怖体験」は、私にとって、今後の人生における安全意識の道標となってくれるでしょう。皆さんも、どうか身近な「想定外の危険」に、改めて目を向けてみてください。日々の生活が、もっと安全なものになるはずです。
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