毎日のルーティンである歯磨きについて、これまでは「虫歯予防」や「ホワイトニング」といった効能を基準に選ぶのが当たり前だと思っていた。しかし先日、ライオンから発売されている「OCH-TUNE(オクチューン)」というシリーズを見つけ、そのコンセプトに驚かされた。選ぶ基準が効能ではなく、磨き方のスタイル、つまり「FAST」か「SLOW」かという直感的なものだったからだ。
面白そうだったので両方を手に入れ、実際に使い比べてみた。同じブランドの製品でありながら、ここまで明確に性格が違うのかと感心させられた。その使用感と、使ってみて初めて気づいた注意点について、自分なりの体験を書き記してみたい。
瞬間的な爆発力と爽快感のFAST
まずは青いパッケージの「FAST」から。名前の通り、この歯磨き粉はとにかく効率とスピードに特化している。
口に入れた瞬間に驚くのは、その泡立ちの速さだ。シャカシャカと数回ブラシを動かしただけで、きめの細かい泡が口いっぱいにぶわっと広がる。この「広がり方」が本当にダイナミックで、一瞬で口の中の隅々まで洗浄成分が行き渡るような感覚がある。
そして何より特筆すべきは、磨き終わった後の清涼感だ。他の一般的な歯磨き粉と比べても、スッキリ感のレベルが一段階高い。鼻から抜けるミントの刺激が心地よく、洗い流した後のキレもいい。時間がない朝や、仕事の合間に一瞬でリフレッシュしたいときには、これ以上の選択肢はないだろう。
ただ、数日使ってみて気づいたことがある。この「圧倒的なスッキリ感」には、少しばかりの罠があるのだ。あまりにも早く泡立ち、あまりにも爽快に終わるため、実際にはまだ十分に磨けていない段階でも、脳が「よし、完璧に綺麗になった」と勘違いしてしまう。
この清涼感に騙されて、細かい部分の磨き残しを見逃してしまうリスクがある。FASTを使うときは、感覚的な満足感に甘んじず、意識的に毛先を動かす必要があると感じた。短時間で済ませるための道具だからこそ、使い手の技術が問われる、そんな一面も持っている。
思考を止めて没頭できるSLOW
対して、ピンク色のパッケージの「SLOW」は、FASTとは対極の思想で作られている。
こちらの泡立ちは非常に穏やかだ。もっちりとした濃密な泡がじわじわと立ち上がり、それが長時間持続する。FASTのように口から溢れそうになることがないので、じっくりと時間をかけて歯の一本一本丁寧に磨くのに適している。
味や刺激もかなりマイルドに抑えられている。長く口に含んでいてもヒリヒリすることがなく、穏やかなハーブの香りが持続する。磨き終わった後の感覚も「突き抜ける爽快感」というよりは「しっとりとした清潔感」という言葉がしっくりくる。
この控えめな主張が、寝る前のひとときにはピッタリだ。刺激が強すぎないので、磨き終わった後に目が冴えてしまうこともないし、その後の眠りを妨げない。テレビを眺めながら、あるいは今日一日を振り返りながら、ゆっくりと手を動かす。そんな時間をかけた「ながら磨き」にこのSLOWは実によく馴染む。
道具を賢く使い分ける
今回、この二つを使い比べてみて感じたのは、シチュエーションに合わせて賢く使い分けるには道具の特性をしっかり理解する必要があるということだ。
朝、眠い目をこすりながらFASTで一気にスイッチを入れる。シャキッとした刺激が脳を叩き起こし、一日のスタートを告げる。逆に夜は、一日の緊張を解くようにマイルドなSLOWで丁寧に磨く。
このように使い分けてみると、生活にもメリハリが出てくる。
もしこれから試してみようと思っている人がいるなら、ぜひ両方を手元に置いてみてほしい。自分のライフスタイルや、その時々の状況に合わせて選択するというのは今までの歯磨きに無かったものだ。
二つの個性を使いこなす。そんな新しい歯磨きのスタイルを、これからも楽しんでいきたいと思う。


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