愛車の必需品であるドライブレコーダー。もしもの事故やトラブルの際に、頼りになる映像をしっかり記録してくれるはず、と思っていました。
しかし先日、突然ドライブレコーダーから「SDカードが破損しています」という非情なエラーメッセージが。数年間、特に気にせず使い続けていたSDカードが、ついに寿命を迎えてしまったのです。
「ドラレコ本体が壊れたらどうしよう」と焦りましたが、原因はSDカードの寿命でした。この経験から、ドライブレコーダーのSDカードは、カメラやスマホのSDカードとはまったく違う、特殊な消耗品であることを痛感しました。
今回は、私と同じようにSDカードのエラーで冷や汗をかかないために、ドライブレコーダー用SDカードを選ぶ際の注意点と、なぜ「高耐久」モデルを選ぶべきなのかを解説します。
ドライブレコーダーのSDカードは過酷な労働状態
なぜドライブレコーダーのSDカードは壊れやすいのでしょうか。
それは、ドラレコでのSDカードの働き方が、まさに「超ブラック企業」状態だからです。
一般的なデジカメなどは、シャッターを押した時だけデータを書き込みます。しかし、ドライブレコーダーは電源が入っている間、常にデータを書き込み続け、容量がいっぱいになると古いデータから上書きしていきます。これを「常時上書き録画」と言います。
この「書き込み」と「消去(上書き)」のサイクルが、SDカードのメモリーチップに極度の負荷をかけます。さらに、真夏の炎天下の車内や、真冬の低温など、過酷な温度環境に常にさらされます。
その結果、安価なSDカードではわずか1年~1年半で書き換え可能回数の限界を迎え、エラーを吐き出して記録できなくなってしまうのです。私の場合も数年間使っていたものが安価な製品だったため、寿命を迎えるのは時間の問題でした。録画が必要な時に限ってエラーが出ていた可能性を考えると、ゾッとします。
寿命を決める「MLC」と「TLC」の違いを知る
SDカードの寿命を決定づけるのが、メモリーチップの記録方式です。主に「TLC」「MLC」「SLC」の3種類があり、特にドライブレコーダーのSDカードを選ぶ際には、この違いを理解しておく必要があります。
私が前回使っていたのは恐らく安価なTLC(Triple-Level Cell)方式でしょう。これは1つのセルに3ビットの情報を記録できるため、大容量で安価に作れますが、書き換え可能回数が約1,000回から5,000回と少ないのが弱点です。
一方、メーカーが推奨する「高耐久」モデルに多く使われているのがMLC(Multi-Level Cell)方式です。これは1セルに2ビットの情報を記録し、書き換え可能回数は約3,000回から10,000回と、TLCより遥かに長寿命です。
つまり、TLCに比べて寿命が3倍以上あり、価格が2〜3倍程度高かったとしても、交換頻度が激減するため、結果的にMLCの方が圧倒的にコストパフォーマンスに優れるのです。
ドラレコのSDカードを選ぶ際は、「安さ」ではなく、必ず「MLC」または「高耐久」と明記されている製品を選びましょう。
高耐久カードを選ぶ際の3つの重要事項
新しいSDカードを選ぶ際に、私が調べたメーカー推奨の重要事項は以下の3点です。この基準で選べば、安定した録画環境が手に入ります。
1. 記録方式は「MLC」を選ぶ
これは最も重要です。「ドライブレコーダー用」「高耐久(High Endurance)」といった名称がついている製品は、このMLCを採用していることが多いです。
2. スピードクラスは「Class 10(U1)」以上
映像を安定して記録するためには、最低限の書き込み速度が保証されている必要があります。ご自身の機種が4Kなどの高画質に対応していない限り、「Class 10」または「UHSスピードクラス1(U1)」以上の規格であれば問題ありません。
3. 容量は「最大対応容量」を選ぶ
SDカードの容量は32GB、64GB、128GBなど様々です。ここでポイントなのが、ドラレコ本体が対応している最大容量を選ぶということです。
容量が大きいほど、古いデータが上書きされるまでの時間が長くなります。これにより、SDカード全体への書き込み負荷が分散され、結果的にSDカードの寿命をさらに延ばす効果があります。例えば、本体が128GBまで対応しているなら、64GBではなく128GBを選んだ方がコスパが良くなります。
備えあれば憂いなし
今回のSDカード破損トラブルは、私のドライブレコーダーに関する意識を大きく変えました。ただ差しっぱなしにするのではなく、「消耗品」として定期的な点検(月に一度程度のフォーマット)と、「高耐久」製品の選択が必須であることを知ったからです。
皆さんも、もし今お使いのSDカードが安価なものであれば、録画エラーで後悔する前に、ぜひメーカー推奨のMLC高耐久カードへの交換を検討してみてください。安心感を持って運転できることが、何よりも大切です。


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