最近、仕事の打ち合わせやちょっとした雑談の最中に、自分の思考がふとした瞬間にどこか遠くへ脱線してしまうことが増えました。相手が話している言葉の中に含まれる特定のキーワードに脳が反応してしまい、そこから連想ゲームが始まってしまうのです。
例えば、相手が「昨日のトラブルの影響で」と言ったとします。すると私の頭の中では「トラブルといえば、あの時のあの対応は大変だったな。そういえばあの時にお世話になった担当の人は今どこにいるんだろう。あの会社、最近新しいサービスを始めたってニュースで見たな。そのサービスのロゴ、どこかで見たことがあるような気がするけれど、なんだったかな」といった具合に、一瞬で本来の話とは無関係な方向へ思考が枝分かれしていきます。
ふと我に返ると、相手の話はすでに二つ三つ先のトピックに進んでいて、肝心の内容が全く頭に入っていない。そんなことが繰り返されると、自分の脳が老化して機能が低下しているのではないかと不安になることもありました。
思考が脱線するのは脳が働きすぎているサイン
実は、このように人の話を聞きながら思考が飛んでしまうのは、必ずしも脳の衰えが原因とは限らないようです。むしろ、脳の連想能力が活発に動いている証拠とも捉えられます。
特にIT関連の仕事をしている人は、日常的に論理を組み立てたり、一つの事象から予測されるリスクや拡張性を考えたりする訓練を積んでいます。そのため、脳がオートマチックに「次の情報」を探しに行ってしまう癖がついているのです。
人が話すスピードよりも脳が思考するスピードの方が圧倒的に速いため、余った処理能力が勝手に別の作業を始めてしまう。いわば、脳の空き容量が多すぎて、勝手にバックグラウンドで別のアプリが立ち上がっているような状態です。特に難しい内容の話を聞いているときは、脳が情報の過負荷から逃れようとして、無意識に理解しやすい別の連想へ避難してしまうこともあるようです。
自分だけが特殊なわけではなく、現代の情報過多な環境で働く多くの人が同じような悩みを抱えていると知り、少し安心しました。
思考の脱線を防ぐためのちょっとした工夫
とはいえ、仕事に支障が出るのは困ります。そこで、思考が飛んでいきそうになったときに意識を引き戻すための、個人的な「仕組み」をいくつか取り入れることにしました。
頭の中での実況中継
相手の話をただ受動的に聞くのではなく、頭の中で相手の言葉を1、2秒遅れで復唱するシャドーイングのようなことを試しています。脳の言語処理回路をフル稼働させることで、連想ゲームが入り込む隙間を物理的に埋めてしまう作戦です。
物理的なアンカーを作る
思考が浮遊し始めたことに気づいたら、すぐに意識を現実に戻すためのスイッチを決めました。例えば、足の裏が地面についている感覚に意識を向けたり、手に持っているペンの重みを感じたりすることです。身体的な感覚に意識を向けると、ぼんやりと考え事をしてしまう脳の活動が抑制されやすくなります。
リアルタイムのメモ書き
頭の中だけで処理しようとせず、キーワードをその場で書き出します。連想が広がりそうになったら、その「枝葉」の部分をメモの端にちょこっと書き留めてしまいます。そうすることで、脳が「これは後で考えればいいことだ」と判断し、メインの話に戻りやすくなる感覚があります。
脳を休ませることの大切さ
集中力を維持しようと必死になるあまり、かえって脳を疲れさせていた面もありました。根性でなんとかしようとするのではなく、まずは自分の脳の特性を理解して、うまく付き合っていくことが大切だと感じています。
難しい話を集中して聞くのは、思っている以上にエネルギーを消費します。仕事の合間には意識的にぼーっとする時間を作ったり、デジタルデバイスから離れて目を休めたりして、脳のストレッチを欠かさないようにしたいものです。
もし同じように「話が頭に入ってこない」と悩んでいる方がいたら、まずは自分を責めるのをやめてみてください。それはあなたの脳が優秀で、常に新しい何かを探そうとしているクリエイティブな状態にあるからかもしれません。
まずは足の裏の感覚を確かめることから始めて、少しずつ自分に合った「集中への戻り方」を見つけていければと思っています。











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