「ステンレスは錆びない」—そんな言葉を信じていた頃が、私にもありました。キッチンのシンクはステンレス製だから、水に濡れても安心。そう思っていたのに、ある日突然、シンクの底に現れた茶色い丸いシミ。まるで缶の底がスタンプを押したかのような跡でした。
その原因は「もらいサビ」。ステンレス自体が錆びたわけではなく、別の金属からサビが移ってきたのです。特に、料理後に洗った空き缶をシンクに伏せて置いたままにすると、この現象が起こりやすくなります。
電気のいたずら?サビ移りのメカニズム
ステンレスと缶の鉄は、異なる種類の金属。水がその間にあると、微弱な電流が流れ、鉄の成分がステンレスに移動してしまうのです。これが「もらいサビ」の正体。特に、水が蒸発せずに缶が密着している状態は、サビ移りの反応を強く引き起こします。
私も一度、洗ったシーチキンの空き缶とフタを「あとで捨てよう」と思ってシンクに伏せておき、うっかり二日ほど放置してしまったことがあります。缶をどかした瞬間、そこにはくっきりとした茶色い丸い跡。シンクが傷ついたのかと焦りましたが、以前読んだ記事を思い出し、クエン酸パックで対処しました。
水にクエン酸を溶かし、キッチンペーパーに染み込ませて貼り付け、しばらく放置。その後、メラミンスポンジで軽くこすると、跡はきれいに消えてくれました。この経験以来、濡れた缶は絶対に放置しないようにしています。
空き缶だけじゃない!もらいサビ予備軍たち
もらいサビの原因は空き缶だけではありません。キッチンには他にも、サビの原因となる金属を含む道具がたくさんあります。
- 包丁やナイフ:使用後はすぐに水気を拭き取り、乾燥した場所に戻す。
- 金属たわし:シンクに置きっぱなしにせず、水切れの良いカゴやフックで吊るす。
- 鉄製のフライパン・鍋:洗浄後はコンロで加熱して水分を飛ばすか、布巾の上に置く。
- ヘアピンやクリップ:小さくても鉄製なら要注意。落としたらすぐに拾い上げる。
- アルミホイル:何かと便利なアルミホイルですが放置は厳禁。すぐにゴミ箱へ捨てる習慣をつけましょう。
これらのアイテムが濡れたままシンクに触れていると、もらいサビのリスクが高まります。
シンクの輝きを守る!簡単3ステップ
もらいサビを防ぐための対策は、意外とシンプルです。
- 濡れた金属は即「退場」させる 缶詰や包丁など、鉄を含むものは濡れた状態でシンクに置かない。使い終わったらすぐに水気を拭き取り、乾燥した場所へ。
- 塩分と漂白剤は「長居させない」 ステンレスのバリア膜は、塩分や塩素系漂白剤に弱い。こぼしたらすぐに水で洗い流すことが大切。
- 最後に「から拭き」で水分を一掃 水分が残っていると、サビの発生条件が整ってしまう。洗い物の後は、乾いた布やキッチンペーパーでシンク全体を拭き取る。
この3ステップを習慣にするだけで、シンクの美しさと清潔感を長く保つことができます。
小さな習慣が大きな違いに
もらいサビは、ちょっとした油断から始まります。でも、予防はとても簡単。濡れた金属を放置しない、塩分や漂白剤をすぐに洗い流す、そして最後にから拭きする。この3つを意識するだけで、ステンレスシンクはずっと美しく、快適なキッチン空間を保てます。
私のように「うっかり缶を放置してしまった」経験がある方も、今日からこの習慣を取り入れてみてください。きっと、キッチンの使い心地が変わりますよ。


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