減っていく数字に、ちょっとした高揚感
私はやや肥満。「やや」がつけられる範囲でいたい。 体重は維持したい。できれば、ほんの少し減らしたい。
そんな思いから、毎晩、風呂上がりに体重を測る習慣を続けていた。 運動は特にしていない。食事も大きく変えたわけではない。 ただ、砂糖をラカントに変えた。それだけ。
それなのに、体重は毎日少しずつ減っていった。100グラム、200グラム。 「これはもしや…ラカントの力?」 そんな淡い期待が、日々の数字に後押しされて膨らんでいく。
病院の体重計が告げた現実
ある日、病院で体重を測る機会があった。 「最近、減ってるんですよ」と、ちょっと得意げに乗った体重計。 表示された数字は、家で見ていたものよりも重かった。しかも、減る前よりも。
一瞬、目の前が白くなった。 「え!?痩せてなかったの?」 ラカントの奇跡は、どうやら幻だったらしい。
取扱説明書は読んでおいた方がいい
疑問に思い、家に帰って体重計の取扱説明書を読み返してみた。 そこには、こう書かれていた。
「固い床の上で測定してください。やわらかいカーペットの上などで測ると正しく測れません」
そう、私はずっとカーペットの上で測っていた。 ふかふかの絨毯の上で、体重計はどうやら私に嘘をついていたらしい。
測定環境がすべてを狂わせる
試しにフローリングの上に体重計を移動して測ってみた。 結果は、病院とほぼ同じ。つまり、現実。
ラカントの力ではなく、カーペットの柔らかさが私の体重を軽く見せていたようだ。 「痩せた」と思っていたのは、体重計の誤差だった。 ラカントダイエット、失敗。いや、そもそも始まってすらいなかったのかもしれない。
それでも、気づけたことはある
がっかりはした。正直に言えば、ちょっと笑った。 でも、毎日測っていたからこそ、違和感に気づけたのだと思う。 そして、測定環境の大切さを知ることができた。
ラカントは悪くない。むしろ、健康的な選択だった。 ただ、体重計の置き場所が、私のダイエットを演出していただけだった。
次からは、ちゃんと固い床の上で測ろう。 そして、数字だけに頼らず、自分の感覚も信じていこうと思う。
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