最近、私もついにマイナンバーカードを健康保険証として使える「マイナ保険証」の利用登録を済ませました。ニュースなどで「過去の処方・調剤情報がデジタルで記録・共有される」「より適切な医療につながる」というアナウンスは聞いてはいましたが、なんとなく先延ばしにしてきました。この度、勤め先からの切り替え推奨の圧力を受け、ようやく重い腰を上げて手続きを行いました。
デジタルで履歴が共有されるということは、あの処方薬のシールがびっしり貼られた、かさばるお薬手帳はもう必要ないのかもしれない。正直、そう考えていたのです。
薬局での「二者択一」に戸惑う
そのデビューの機会はすぐに訪れました。クリニックで処方箋を受け取り、いつもの調剤薬局へ。受付のカウンターには、以前はなかった顔認証付きのカードリーダーが鎮座していました。そして、自分の手には慣れ親しんだ紙のお薬手帳が握られています。
聞いた話だとマイナ保険証にすることで処方・調剤情報が記録されるとのこと。これで情報が伝わるのだから、手帳は要らないのだろうか? でも、お薬手帳は見たい時にすぐ見れるし、、、どっちがいいのだろう??
読み取り機にカードをかざせば、過去の情報がデジタルで共有されます。一方、紙の手帳を渡せば、薬剤師さんは今までの履歴をアナログで確認してくれます。
「マイナ保険証の読み取りに切り替えた方が良いのかな?よくわからない。どうしよう?」
結局、その場で誰かに尋ねることはせず、確実な方を選びました。私はマイナンバーカードを読み取り機にかざすことはせず、いつものように処方箋と、長年連れ添ったお薬手帳をカウンターに出しました。
薬剤師さんは、特に何も言わず、いつも通りにお薬手帳を確認し、調剤室へ。そのまま滞りなく薬を受け取り、帰路についたのですが、心の奥底には小さなモヤモヤが残っていました。
「本当にこれでよかったのだろうか? 最新のシステムを利用しなかったことで、何か損をしたのでは? それとも、情報共有の手続きを省いたことで、薬剤師さんに手間をかけてしまったのでは?」
厚生労働省のページで真実を知る
そのモヤモヤを解消すべく、自宅に戻ってすぐに検索窓にキーワードを打ち込みました。「マイナ保険証」「お薬手帳」「併用」。そして、厚生労働省などの公式サイトや関連情報を読み込みました。
そこで分かったのは、マイナ保険証のデジタル情報にも限界があるということです。
デジタルで共有されるのは、あくまで「保険診療の記録」に基づいた処方薬の履歴です。私が過去に自己判断で購入した市販薬や、健康のために飲んでいるサプリメントなどの情報は含まれませんでした。
そして、この「保険外の情報」こそが、重複投薬や危険な飲み合わせを避けるために、薬剤師さんが最も知りたい情報の一つのようなのです。
また、情報が支払基金などを経由するため、デジタルデータ記録にはタイムラグが生じることがあるようです。一方、お薬手帳は直近の服薬状況や、服用した後のアレルギー反応・副作用の記録を自分で追記して医師や薬剤師に伝えることができるという違いがあるようです。
つまり、私が薬局で感じた二者択一の迷いは、そもそも誤解だったようです。
結局、現時点では「両方」が最強である
調べた結果、私が得た結論は、マイナ保険証とお薬手帳は敵対するものではなく、協力し合うべき最高のコンビだということでした。
- マイナ保険証:正確な保険診療の履歴と資格情報を保証する「デジタル記録」。窓口での高額療養費手続きを簡略化する役割も担います。
- お薬手帳:市販薬やサプリメント、そしてアレルギー・副作用歴という「個人の生の情報」を補完する「アナログ記録」。
もしあの時、私が恥ずかしがらずに薬剤師さんに「マイナカードの読み取りをした方がいいですか?」と尋ねていれば、「はい、読み取りをお願いしつつ、市販薬の情報が載っているのでお薬手帳も拝見しますね」という答えが返ってきたことでしょう。
次回からは、胸を張ってマイナンバーカードをリーダーにかざし、情報提供に同意します。そして、処方箋と一緒に必ずお薬手帳も提示する。この「二刀流」こそが、最も安全で質の高い医療を受けるための賢い方法のようです。
私と同じように薬局のカウンターで立ち尽くした経験がある方も、ぜひ次回から両方を活用してみてください。少しの手間が、あなたの服薬生活の安全を大きく高めてくれるはずです。


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