給油って、もっとスマートにならないのかな? そう思っていた矢先に登場したのが「MySOLATOアプリ」。太陽石油が提供するこのアプリは、給油の手間を減らし、ポイントも自動で貯められるという触れ込み。9月からサービスが始まったと聞いて、さっそく使ってみることにした。
期待は大きかった。事前にレギュラーガソリン満タン、支払い方法はプリペイドカード、楽天ポイントカードの紐づけまで済ませて準備万端。これで給油がスムーズになるならと、期待を胸にスタンドに向かう。面倒なタッチパネル操作の日々ともおさらばだ。
…と思っていた。
給油の流れ、実はこう変わった
まずは、従来の操作方法を振り返ってみよう。
- 給油機のタッチパネルで支払い方法を選択(プリペイドカード)
- プリペイドカードを挿入
- 楽天ポイントカードを選択し、バーコードを読み取らせる
- レシートの割引バーコードを読み取る
- 油種と給油量を選択(レギュラー・満タン)
- 静電気除去シートに触れる
- 給油口を開けてノズルを差し込み、給油
- 給油が終わったらノズルを戻し、給油口を閉める
- レシートを取る
この一連の流れ、慣れてしまえば数分で終わる。財布ひとつで完結するのも気楽だった。
では、MySOLATOアプリを使った場合はどうなるか。
- 給油機のタッチパネルで「アプリを使用する」を選択
- スマホを取り出してアプリを起動
- 登録済みの給油設定のQRコードを表示
- 給油機にQRコードを読み取らせる
- プリペイドカードを挿入
- レシートの割引バーコードを読み取る
- 静電気除去シートに触れる
- 給油口を開けてノズルを差し込み、給油
- 給油が終わったらノズルを戻し、給油口を閉める
- レシートを取る
一見すると、アプリによって操作が短縮されたように見える。実際、油種や給油量の選択、ポイントカードの読み取りなどは事前登録で省略できる。
しかし、代わりにスマホ操作が加わった。アプリを立ち上げてQRコードを表示し、給油機に読み取らせるという新しい手順が必要になったのだ。
スマート化のはずが、持ち物が増えた
ここで気づいたのは、持ち物が増えたこと。以前は財布だけで済んでいたのに、今はスマホも必須。しかも、スマホのバッテリーが切れていたら、アプリは使えない。給油のためにスマホの充電を気にするようになるとは、思ってもみなかった。
さらに、スマホ操作に慣れていない人にとっては、アプリの起動やQRコードの表示もひと手間。
…あれ? 操作、増えてない? しかも、スマホの画面が暗くてQRコードが見えない。指紋認証がうまくいかない。アプリがどこにあるか一瞬迷う。給油機の前でスマホとにらめっこしてる自分、ちょっと滑稽。
便利さと手間のバランス
もちろん、MySOLATOアプリには便利な面もある。給油設定を複数登録できるので、通勤用とレジャー用で使い分けることも可能。ポイントカードの紐づけも一度設定すればOK。クーポンやお知らせ機能も充実していて、使いこなせばお得感はある。
ただ、実際に使ってみると、「便利さ」と「手間」のバランスが少し崩れているように感じた。スマート化とは、操作が減ることだけではなく、“気軽さ”が保たれることも大切なのではないか。
スマートってなんだろう?
MySOLATOアプリを使ってみて感じたのは、「スマート化=便利になる」とは限らないということ。操作が分散され、持ち物が増え、気軽さが少し失われた。もちろん、慣れれば快適になる可能性もあるし、今後のアップデートで改善されるかもしれない。
でも、こうした体験を通じて、自分にとっての「スマート」とは何かを考えるきっかけになった。 それは、操作が少ないこと?持ち物が減ること?それとも、それとも、給油機の前で焦らずに済むこと?
給油という日常のひとコマに、そんな問いが浮かぶとは思っていなかった。 そして今日も、財布とスマホをポケットに入れて、スタンドへ向かう。
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