冬の寒さが本格的になってくると、デパートやスーパーの特設コーナーがにぎやかになります。お正月の準備も落ち着いたこの時期、密かに楽しみにしているのが「お歳暮の解体セール」です。
本来ならお世話になった方へ贈るための立派なギフトセットが、役目を終えてバラ売りされていたり、セットのまま破格の値段で並んでいたりします。贈答用なので中身の質は保証されていますし、自分ではなかなか買わないような高級品が手に入る絶好の機会です。
先日、そんなセール会場をぶらりと歩いていたところ、一際目を引く立派な缶入りのお茶を見つけました。老舗のお茶屋さんの名前が入った、品のあるデザインの缶です。定価を考えるとかなりお得になっていたので、自分へのご褒美として迷わずカゴに入れました。
缶の中身と保存のジレンマ
帰宅してさっそく包みを開けてみると、ずっしりとした缶の中から出てきたのは、パンパンに膨らんだアルミ包装の袋でした。お茶の葉が直接入っているわけではなく、さらに厳重に密封されている状態です。
ここでふと手が止まりました。このお茶っぱを、そのまま缶に移し替えるべきか、それともアルミ袋に入れたままにするべきか。
見た目の美しさや使い勝手を考えれば、缶に直接ザザーッと開けてしまったほうが「お茶を淹れている」という雰囲気が出ます。スプーンですくいやすいですし、残量も一目でわかります。しかし、せっかくの高級な茶葉です。香りが逃げてしまったり、味が落ちてしまったりするのは避けたいところです。
結局、気になって調べてみたところ、そのまま移し替えるのはあまり良くないということがわかりました。お茶の葉にとっての天敵は、酸素、光、湿気、そして周囲の匂いなのだそうです。
お茶を最後まで美味しく保つための正解
結論から言うと、一番良い保存方法は「アルミ袋に入れたまま、袋の口をしっかり閉じて、そのまま缶に収める」という二重構造にすることでした。
アルミ袋は光を通さず、酸素の透過も防いでくれます。袋の空気をしっかり抜いてからクリップや輪ゴムで留め、それをさらに缶に入れることで、外気や湿気から鉄壁の守りを固めることができるわけです。
缶に直接入れてしまうと、缶自体の金属の匂いがお茶に移ってしまったり、逆に以前入っていたお茶の香りが混ざってしまったりすることもあるそうです。お茶の葉は消臭剤の代わりになるほど匂いを吸い込みやすい性質を持っているので、他の香りが混ざると本来の繊細な風味が台無しになってしまいます。
理想の道具への憧れと現実
保存方法を調べていくうちに、さらに上を行く「錫(すず)の茶筒」という存在を知りました。職人が作る錫の茶筒は、蓋を置くだけで自重でスーッと閉まっていくほど精密にできていて、密閉性が抜群に高いのだそうです。錫には浄化作用もあり、お茶の味をまろやかに保つ効果まであると聞いて、一気に興味が湧きました。
さっそく通販サイトなどで値段を調べてみたのですが、その価格を見て驚きました。職人技が詰まっているだけあって、数万円もするような高級品が珍しくありません。気軽に「保存用に一つ買ってみよう」と言える金額ではなく、思わず画面を閉じてしまいました。
憧れの道具はいつか手に入れられたらいいな、という楽しみにとっておくことにして、今回は当初の予定通り、アルミ袋を活用する方法でいくことに決めました。身近にあるクリップで袋の口をしっかり閉じ、空気を抜いて缶に収める。これだけでも、十分に美味しい状態を保てるはずです。高級な道具を揃えることよりも、今あるものを大切に扱う工夫をすることに楽しみを見出していこうと思います。
最後まで楽しむための工夫
どんなに良いお茶でも、封を開けた瞬間から少しずつ変化が始まります。美味しく飲める期間はだいたい二週間から一ヶ月ほどだと言われています。
もし最後の方で香りが少し薄れてきたなと感じたら、フライパンで軽く炒ってみるのも一つの手です。自家製のほうじ茶として、また違った香ばしさを楽しむことができます。部屋中にお茶の香りが広がって、リラックス効果も期待できそうです。
日々の生活の中に、こうした小さなお楽しみを見つけるのは楽しいものです。お歳暮の解体セール、もし見かけることがあればぜひ覗いてみてください。思いがけない掘り出し物が、冬のティータイムを格上げしてくれるかもしれません。


コメント