最近、あらためて思うことがあります。何かを身につけるとき、同じことを何度も繰り返す反復練習はもちろん大切です。基礎を体に叩き込んで、無意識でも動けるようにするプロセスは、どんな分野でも避けては通れない道でしょう。
でも、そればかりだと少し息が詰まってしまうのも事実です。脳が「あ、これ昨日もやったやつだ」と認識した瞬間に、処理が省エネモードに切り替わってしまうような感覚があります。だから私は、日々の生活の中に意識的に「未知」を放り込むようにしています。
昨日の自分を裏切るルート選び
一番手軽で効果的なのが、移動経路を変えることです。通勤や買い物、ちょっとした散歩のとき、あえて一度も通ったことのない道を選んでみます。
地図アプリを見ずに直感だけで角を曲がってみると、驚くほど新しい発見があります。こんなところに個人のギャラリーがあったのかとか、この路地裏の家は庭の手入れがすごいなとか、効率を重視して最短距離を歩いているときには決して見えなかった景色が飛び込んできます。
脳科学的にも、新しい空間を把握しようとするときには脳の特定の部位が激しく働くそうです。知らない街を歩いているときの、あの少し背筋が伸びるような適度な緊張感とワクワク感は、日常のマンネリを打破する一番の薬になります。
キワモノを恐れず口にする勇気
食生活も、なるべく守りに入らないように心がけています。飲食店に入ったら、つい安定の「いつものメニュー」を選びたくなりますが、そこをぐっと堪えて、名前から味が想像できないものや、見た目が少し奇抜なものに挑戦してみるのです。
正直に言えば、失敗することも多いです。一口食べて「これは一体どういう意図で作られた味なんだろう」と首を傾げたり、完食するのが修行のように感じられたりすることもあります。でも、それでいいと思っています。
最近挑戦したものでいうとルマンドココアドリンクです。ブルボンのお菓子であるルマンド味のココアです。自販機で驚愕の半額50円で販売されていたのを見つけてチャレンジしてみました。ルマンドの味を忠実に再現。お菓子のルマンドは美味しいのに、ドリンクは「ゔ~ん?」な感じです。
具合が悪くならない範囲であれば、たとえ口に合わなくても、それは立派な経験値になります。一度食べてみて「自分には合わない」と確認できたことは、食べず嫌いでいるよりもずっと価値があります。自分の好みの境界線がどこにあるのかを再確認する作業でもあるわけです。
経験を話のタネとしてストックする
こうした「昨日とは違う経験」を積み重ねていると、自然と手元にエピソードが増えていきます。
人との会話の中で、美味しいお店の情報も役立ちますが、それ以上に「知らない道を歩いて迷い込んだ先で見つけた不思議な看板」の話や、「勇気を出して食べた謎の食べ物の衝撃的な味」の話は、場を和ませる良い材料になります。
成功体験だけでなく、ちょっとした失敗や戸惑いを含めた経験すべてが、自分という人間を形作る独特な要素になっていく気がします。完璧にこなすことよりも、どれだけ多くの「初めて」に出会えたかを重視する方が、毎日はずっと豊かになります。
違和感を楽しむ余裕を持つ
もちろん、毎日新しいことばかりを追いかけるのは疲れることもあります。それでも、あえて自分の慣れ親しんだ快適なゾーンから一歩踏み出し、違和感の中に身を置いてみる。その姿勢を持ち続けることで、思考が凝り固まるのを防げるのではないでしょうか。
「これ、どうなんだろう?」と思うようなものに出会ったとき、反射的に避けるのではなく、まずは面白がって関わってみる。そんな軽やかなフットワークを、これからも大切にしていきたいと考えています。
さて、明日はどの道を歩いて、どんな新しい体験に出会えるでしょうか。特別なイベントがなくても、選択肢を一つ変えるだけで、毎日はいくらでも新鮮に塗り替えられます。
次は、まだ足を踏み入れたことのない隣町の古い商店街まで足を伸ばしてみようかと思います。そこにはきっと、私の知らない日常が転がっているはずです。


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